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岡田敦【プロから学ぶ作品づくり〜第2部:画像処理について-1】

2010.06.10

第2部:画像処理について-1

今回お届けする「画像処理について」は内容盛りだくさんにつき、予定を変更して2回に分けてお届けいたします。

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【画像処理の目的】

 ここ数年、大手メーカーの印画紙やフィルムの製造中止のニュースが相次いでいる。僕はこれまで作品づくりの中心をフィルムカメラでおこなってきたのだが、最近ではデジタルカメラを使用して作品づくりをする機会も増えてきた。デジタルカメラ、フィルムカメラ、どちらのカメラを選択するにせよ、写真制作は撮影後にしなければいけない作業が意外と多い。

 デジタルカメラを使用して作品づくりをする場合、撮影後のパソコン上での画像処理は、作品をつくる上で不可欠だ。画像処理は、言ってしまえば銀塩写真における暗室作業のようなものだ。写真家が暗室の中でフィルムや印画紙と向き合い、理想のプリントを焼くために多くの時間を費やしたように、デジタルカメラで作品をつくる場合は、撮影後にモニターと向き合い、プリントの基盤となる質のよいデータを作る必要がある。

【画像処理ソフト】

 
 僕がよく撮影で使用するデジタルカメラは、Nikonのデジタル一眼レフと、HASSELBLADとLeafのデジタルバックの組み合わせだ。デジタルカメラで作品をつくる場合は、基本的にRAW撮影しかおこなわない。いかに質のよいデータを作るのか、銀塩写真において“ネガ”がプリントの命であったように、デジタル写真の場合、“データ”がプリントの命となるのだ。

 普段使用している画像処理ソフトは、「Nikon Capture NX2」と、「Leaf Capture (version11.2.4)」だ。基本的に、使用しているカメラの純正画像処理ソフトしか使っていない。Nikonの場合、カメラを購入した時に「ViewNX」という画像処理ソフトが付属でついてくるが、このソフトでNikonのカメラの機能を最大限に引き出すことは難しい。出費がかさんでしまうが、別途で「Capture NX2」を購入した方が無難である。「Capture NX2」は、画像全体の調整だけではなく、部分的な焼き込みなどもできるので、「Photoshop」を使うことなく最終的な画像データを作ることができる。理想は、RAWデータの現像時に、できるだけ最終データに近づけるということである。

岡田連載2写真1

Nikonの画像編集ソフト「Caputure NX2」の操作画面

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 Nikon「Capture NX2」のワークスペース内にあるエディットリストは、大きく分けて『現像』セクションと『調整』セクションの2つに分かれている。
『現像』セクションは、「カメラ設定」「クイックフィックス」「カメラとレンズの補正」といった3つの項目で構成され、「カメラ設定」では、ホワイトバランス、ピクチャーコントロール、アクティブD-ライティングなどの調整が可能である。「クイックフィックス」では、トーンカーブや彩度などの調整が可能である。(上の画像参照)

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 『現像』セクションが画像全体を調整するのに対し、『調整』セクションはコントロールポイントなど、画像の部分的調整を可能にする機能がついている。また、『調整』セクションにある「傾き」補正ツールはとても便利な機能である。

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 僕が「Caputure NX2」を使ってRAWデータの現像をおこなう場合は、先ず、『現像』セクションにある「カメラ設定」でピクチャーコントロールの選択をおこなう。ピクチャーコントロールの選択は、銀塩写真におけるフィルム選択のようなものだ。銀塩写真では撮影前に作品に適したフィルムを厳選する必要があるが、デジタルカメラのRAW現像では、その作業を撮影後の現像時におこなうことになる。彩度の高い写真にするのか、柔らかな階調の写真にするのか、撮影時にある程度のイメージを作っておく必要はあるが、最終的な判断は現像時におこなうことになる。その他、ホワイトバランスやトーンカーブの微調整もおこなうが、これらは銀塩写真における暗室作業のようなもので、デジタルカメラでの作品制作には欠かせない行程である。「Capture NX2」についているコントロールポイント機能は、まさに暗室作業における焼きこみ作業のような感覚を覚える。(上の画像参照)

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Adobe「Photoshop」での画像の微調整の様子

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 画像データは何度も手を加えると画質が劣化してしまう。理想はRAWデータの現像時(フィルムの場合はスキャニング時)に最終画像を作ってしまうことが、場合によっては現像後に手を加えなければいけない。そんな時は、Adobe Photoshopを使って微調整をするのだが、色調やコントラストを大きく変える場合は、RAWデータの現像(フィルムの場合はスキャニング)からやり直すようにしている。(上の画像参照)

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